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2016年02月

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2016年02月

[No.60]早春

更新日2016年02月09日

お元気ですか!梅の便りに心が弾みます。

先日は満開の紅梅に出会って感動、これからさまざまな春の始まりの風景を探しに出かけたいものです。

 

まどかぴあでも、春を先取りするような温かいゲストを迎えてのイベントが重なりました。

「はなちゃんのみそ汁」の著者安武信吾さん、直木賞作家安部龍太郎さんの講演会です。

男女平等推進センターの事業では西日本新聞社編集委員の安武信吾さんとのトーク、ベストセラー「はなちゃんのみそ汁」のページをゆっくりひも解くようなやさしい時間でした。

映画も大ヒット、安武さんは講演依頼にてんてこ舞い、本当にお忙しそうでしたが、映像を交えてのお話は会場の皆さんに大きな感動を与え、幸せというものを考えるきっかけを与えて下さいました。

33歳の若さで乳がんのために亡くなった千恵さんの無念さを思うと涙があふれそうでしたが、トークでは、もう中学1年生になったはなちゃんと安武さんの穏やかな暮らしを通して千恵さんの思いを受け取ることにつとめました。

時に、「そういえば…こんなことがありましたよ」「そういえば、千恵がこんなこと話してました」と、安武さんは家族の思い出をゆっくり語ってくださいました。

病と闘いながらも、母親として、また、一人の人間として伝えたかった強い思いが押し寄せてくるようでした。5歳だったはなちゃんはそれをしっかりと受け止めたのです。きちんとだしをとることからみそ汁の作り方を学ぶ、それは同時に自立して生きるということへのメッセージなのです。はなちゃんは、今もちゃんとそれを守って暮らしています。「だって、お母さんと約束したから」と5時起きで鰹節削りから始めるのです。父と娘でしっかりと母親の思いを抱いて暮らす様子に感動、しかし、「日曜日だけはパン、みそ汁は休みです」にちょっとだけほっとしました。しかし、はなちゃんのみそ汁作りには大きな反響があり、子どもたちを中心にあちこちでみそ汁作りの輪が広がっています。千恵さんの食への思いがちゃんと広がっているのです。

また、まどかぴあ図書館の「図書館へ行こう」イベントのひとつ安部龍太郎さんの講演会も大好評でした。

「作家人生を語る〜これまで、そしてこれから〜」と題したお話は穏やかなお声とともに、故郷八女から東京へ、久留米高専から作家へ、そして歴史小説へと…、その人生をゆっくり語ってくださって、お人柄がそのまま感じられる素晴らしいものでした。会場には久留米高専時代の恩師も駆けつけて下さって、「あら、先生来て下さったのですか!今も試験の夢を見ますよ。先生のおかげで高専卒業できました、ありがとうございます!」と、和やかな空気に包まれました。

参加者の方々のアンケートも上々で「ますますファンになりました」「安部先生の作風の真剣さが伝わりました」「筆力が心にしみる」「洞察力に感銘」などなど深い言葉に包まれました。

「福岡に来るのなら、故郷八女に!」と誘われて、前日は星野小学校の子どもたちにお茶を学んでもらいながらお話をされたそうです。まどかぴあにもそのままの和服姿で来て下さり、いい空気を醸し出してくださいました。ゆっくりと穏やかに、そのお話の間がまた心地よく作品の行間を味わうことができました。サイン会にも長い行列ができて、話の花が咲きました。

 

“書く”というお仕事をされている方の“話し”は、不思議な味があって本当にいいものだとしみじみ感じたふたつの講演会でした。

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