ホーム

館長の部屋

館長の部屋

[No.100] 9月、京都にて

更新日2019年09月24日

お元気ですか!

9月に入っても、台風のもたらした被害や残暑に気の休まらない日々が続きました。千葉県の停電や断水のニュースに胸が痛み、いかに私たちが今電気に依存しているかということをも再認識させられたことです。年々災害が深刻化し、世界規模でその被害が広がっていることを考えると、私たちの暮らし方を改めて考え、それを行動に移すことが求められます。

私は、現在、国立博物館の仕事に携わっていますが、先日国際会議に出席することができましたので、ご報告させて頂きます。

世界の博物館関係者が集う「第25回国際博物館会議(ICOM)京都大会」が、9月1日から7日まで、日本で初めて開催されました。この期間中、国立京都国際会議場をメイン会場にして、世界140カ国以上からなんと4,600人以上の参加者があり、それぞれが抱える様々な課題や博物館の果たす役割について話し合うというものでした。隈研吾さん、毛利衛さんをはじめ多彩なゲストの話に始まり、各国の関係者のパネルディスカッションなど7の間のプログラムは多岐に渡り、京都の街は様々なイベントで大賑わいでした。

ICOMは、1946年、第2次世界大戦で分断された世界が、文化理解を通じて、今一度、手をつなごうという趣旨のもとに設立されたのです。

その趣旨を大切にしながら、博物館として社会にいかに貢献すべきかということを考える会議なのですが、この大会の実行委員長である京都国立博物館の佐々木丞平館長はこう述べておられました。

「行き着くところ、博物館は、人類の平和と幸福に貢献することに尽きます。そのためには

世界の博物館が手をつながなければなりません。国と地域の境を超え、人種の境を越え、時には過去・現在・未来といった時間の軸を超えて、手を繋がなければなりません。そうした空間軸、時間軸を超えて、人々が集まり、手を繋ぐことができる公共空間、すなわち“文化の結節点”は博物館をおいて他には存在しないでしょう。だからこそ、博物館の存在意義があるのだと思います」と。

会場を見渡すと世界中の国からの参加者、しかし、語り合われる問題課題は共通するものが多く、大きな目標に向けて共に歩むことの必要性がシンポジウムなどで具体的に語られました。もちろん、ここでも災害と博物館についての議論が交わされ、国際防災会議も発足することになりました。

今、企業でも大きな取り組みとして取り入れられている、国連の「持続可能な開発目標 (SDGs)」について議論が集中しました。

SDGsは17の目標と169の具体的な目標があり、その内容は世界中のひとびとが抱える課題解決のために、教育や貧困、福祉、まちづくり、ジェンダー平等など様々な分野についての取り組みを先進国と途上国が一丸となって行っていこうというものです。しかし、まだ日本での認知度は20パーセント弱、改めて、その具体的な目標についてしっかり考えなければと思いました。

SDGsは、私たちの暮らしにはもちろんですが、文化施設が抱える課題にもつながることが多いのです。時代の変化とともに、地域の人々とどう取り組んで行くか、大きな宿題を手にしたような気がします。

 

[No.99]

更新日2019年08月09日

お元気ですか!

厳しい暑さが続いています。

暑さにだんだん弱くなっていく自分に年齢を感じながらの今日この頃です。

私は、7月の後半続けて三度の出張があり、東京に2度、そして奈良に出掛けました。東京、奈良、さらに帰りに立ち寄った京都も、じりじりと暑くて、ふうふうため息をつきながらの移動でした。

帰りに何処かでほっと心安らぐ時間をと考え、京都最古の禅寺、建仁寺を訪ねてみました。本当に久しぶりにゆっくりといい時間を過ごすことができたものですから、ご報告です。因みに日本最古の禅寺は博多の聖福寺、どちらも開山は栄西禅師です。祇園、花見小路を抜けて門をくぐり、静寂な世界へ。

目的の一つは俵屋宗達の「風神雷神図屏風」、国宝の保存状態を考えて京都国立博物館に寄託されており、ここではレプリカが置かれているのですがとても素晴らしいものでした。風袋から風を吹き出し、下界に風雨をもたらす風神と、太鼓を叩いて雷鳴と稲妻を起こす雷神、その表情にしばし見とれてしまいました。

東京オリンピック・パラリンピック大会を記念して発行される五百円硬貨の図柄は人気投票の結果「風神・雷神」に決まったのですから、そのことも嬉しくて佇んでさらに見入っておりました。オリンピック用が「雷神」、パラリンピック用が「風神」なのだそうです。確か来年の7月に手にすることができるはずです。

また、建仁寺のお庭の素晴らしさに感動、大雄苑(だいおうえん)海音庭(ちょうおんてい)そして、有名な○△□の庭(まるさんかくしかくのにわ)、枯山水と緑の深さが暑さを忘れさせてくれるのです。時折スーッと吹く風に頬を撫でてもらいながら、お庭に向ってゆっくり心の洗濯でした。また、来よう!今度は紅葉の頃にと思ったことです。

8月8日が立秋ですから、もう残暑お見舞いという時期。そろそろ猛暑、酷暑から解放されて、ほっとしたいものですね。

そういえば、知人から、「9月13日は中秋の名月、みんなでお月見の会をしませんか?」という案内を頂いて秋を待つ心がさらに立ち上がって来ました。しっかり食事を摂って、ゆっくり睡眠を取り、身体を労わりながら秋に向かって歩んで参りましょう。

まどかぴあは秋に向けて大忙し、様々なイベントのチケット販売でインフォメーションは大賑わいです。

「あなた、デイサービスショーのチケット買ったの?」「勿論!」「その次は八代亜紀さんのコンサートもあるのよ、買うの?」「勿論!」「そうよね、楽しみ」・・・とエレベーターの中の会話でした。思わず「有り難うございます!」と、頭を深々と下げたことです。秋のイベントを楽しみにして頂くことも、暑さを乗り越えるパワーになるかもしれません。

どうぞ、お元気にお過ごしください。

[No.98]紫陽花の季節

更新日2019年06月28日

お元気ですか!

季節の変わり目鬱陶しい時期ですが、膨らんだ紫陽花がそんな気持ちを慰めてくれるような気がします。また、郊外に足をのばすと田植えの終わった風景が広がって、風に揺れる早苗にゆっくりと伸びる力を教えられます。

さて、まどかぴあも七夕飾りでみなさまをお迎えする時期になりました。

先日、まどかぴあのボランティア飾り隊のみなさんと職員とで5本の笹竹にたくさんの短冊を飾りました。そのそばには、お子さんたちにも参加して頂こうと、短冊の準備をしています。可愛い願い事をたくさん結びつけてくださるのを心待ちにしています。

まどかぴあでは只今“まどかぴあ市民大学”「おとなの楽校」の受講募集を始めています。

今年のチラシはひと味違うと大好評、風の吹くベランダで楽しそうにノートを広げる女性は何を読んでいるのでしょうか?今年の「おとなの楽校」のテーマは「デザイン」なのです。

“デザインを知ると、風景が変わる”、このコンセプトも素敵で、開講に向けてスタッフ一同張り切っています。

ラインナップは次の通りです。

*ピアノの調律に触れながら「音のデザイン」を聴く

*文字、その「書体の開発デザインの世界」に迫る

*さまざまな場面の「ユニバーサルデザイン」について考える

*型絵染作家の作品を鑑賞しながら「人生デザイン」に触れる

詳しいことは、話題のチラシをぜひ手に取ってじっくりお読みください。楽しみながら、深い話に耳を傾け、「へえー」「ほう」「そうか」「なるほど」「ふーん」などと深く呟いて頂けたら幸せです。お友だちをお誘いになって、お出かけください。きっと、帰り道、その風景が変わっているかもしれません。学びは心の風景を変える力がきっとあると私は信じています。

先日、私が久しぶりに学びの大切さを知ったのは G20に参加した時です。日本が初めての議長国となったG20、日本各地で様々な分野のサミットが開かれていますが、6月8日、9日福岡では「G20財務大臣・中央銀行総裁会議」が開催されました。そのコーポレート・ガバナンス(企業統治)のセミナーを聴講しましたが、各国代表の意見交換は実に刺激的なものでした。長期的によりよい企業経営を続けるための仕組みについて議論が交わされましたが、キーワードは「情報開示の必要性」「持続可能性の重要性」「透明性があるか」「多様性が実現しているか」「女性の活用を更に!3分の1にできないか」などなど、そのキーワードはすべての組織に共通するということも改めて考えさせられました。

厳重警備で静まりかえった当日の福岡市百道地区、10メートルおきの検問を受けながら、緊張の連続の参加でしたがとてもよい学びの経験でした。

 

[No.97]薫風と令和

更新日2019年05月09日

緑のそよ風、輝く陽の光、5月というのはなんと美しい季節でしょう。

 

皆様お元気ですか!

今年の5月は特に薫風が力強く感じられます。誰もが夢と希望を胸に、喜び満ち溢れる新しい元号「令和」のスタート。若者たちがスマートフォン片手に笑顔ではしゃいでいたこともあり、新しい時代の始まりをさらに深く感じたものです。

さて、10連休から日常への立ち上がりはいかがだったでしょうか。休みが続くと仕事への切り替えが難しく、自分に“よいしょ”の掛け声がいくつも必要な気もします。

あるドクターに伺ったのですが、長い休み明けというのは社会的時差が生じており、その解消には結構時間がかかるものだそうです。会社や学校に行きたくない症候群の意味がよくわかりますね。

また、体調の面でも、2時間以上の寝坊や夜更かしは取り返すのがとても難しいのだとか。生活のリズムを規則正しく守ることの大切さを改めて感じました。

長期休暇となると様々な過ごし方があり、海外旅行、近場の観光、里帰りなどなど、多様な楽しみを求めてあちこち大渋滞、大賑わいでした。今、ほっと一息、それぞれのゴールデンウィークを振り返っていらっしゃることでしょう。

 

私は飛び飛びに仕事があり、旅行の予定も立てられず日々大掃除に明け暮れました。断捨離の第一歩です。こんなに不必要なものを大事に持っていたのかしらと反省しながら、仕分け作業に精を出しました。ゴミ袋の山を前に、久しぶりにすっきりした気分になれました。

さあ、新しい元号「令和」とともに、心新たに頑張らなければなりません。

まどかぴあのギャラリーモールには、先日お知らせしておりました通り、飾り隊のメンバーでもある書家の志賀禮花さんが制作して下さった、大きなサイコロ型の令和のカレンダーがお目見えしました。緋毛氈の上に並んだサイコロを合わせて記念撮影をされる方も多くいらっしゃいます。ぜひ、ご覧になってみてください。万葉集の序文も楽しむことができます。

令和の考案者であろうといわれる日本文学者の中西進さんによると、「令」は「秩序というものを持った美しさ、麗しい」という意味が込められており、「和」は十七条憲法の「和をもって貴しとなす」という平和思想があるということです。「麗しく平和をグレードアップさせていく時代」、ともによい時代を作り上げていきたいものです。

[No.96]令和の時代へ

更新日2019年04月11日

お元気ですか!

長く楽しませてもらった今年の桜も花吹雪となり、ひらひら舞い踊りはじめました。花びらの中に佇むと昔の思い出の中に引き戻されたり、これからの人生を考えたり・・・何とも言えない感傷的な気分になるから不思議です。私自身は、半世紀以上も前の小学校入学式の日、母に手を引かれて心細い思いで門をくぐったことが今も思い出されます。

そして、桜にかわって新緑が輝き、日に日に緑の山は膨らんで山滴る頃へと、力強い季節の移り変わりに負けないように頑張らなければと思っています。

さて、新しい元号「令和」の発表に心躍らせた4月のスタートとともに、まどかぴあも新しいスタッフを迎え慌ただしく動いています。

図書館では入口に「令和」の特別コーナーを設えて、万葉集や新聞の号外など、その背景にある物語をお伝えしています。

万葉集の巻五、梅花の歌の序文は皆さまもう何度もお読みになったことでしょう。「初春令月、気淑風和(初春の令月にして、気淑く風和ぎ)・・・」の部分がその出典です。万葉集の編纂は大伴家持と言われていますが、その父親の大伴旅人は天平2年正月、管下の国司や高官を招いて宴を開いていたそうです。そこに集まった人々が梅の花を見ながら詠んだ歌32首が万葉集に収められています。

 

大伴旅人は、神亀五年(728年)に妻の大伴郎女を伴って大宰府の長官に赴任してくるのですが、翌年に妻を亡くし落胆の日々を送ります。その傍らで旅人を慰め、そばに寄り添っていたのが山上憶良でした。二人はともに酒を酌み交わしながら語り合い、歌を詠むのです。宴は歌会となり、筑紫に歌壇ができるきっかけになったのです。二人の歌は万葉集の中にたくさんあるのですが、その中には時代を超えて、今私たちの心に重なるような人生を想う歌が数多くあるのです。和歌を以て春の情緒を詠み、お酒を酌み交わしながら様々なことを語り合っていたのでしょう、大伴旅人は酒壺になりたいというほどお酒が好きだったとか、いくつかの歌に人間味を感じたものです。

当時の大宰府の官僚たちは、花や月を愛でながらよく歌会をしたのだそうです。今は花見といえば桜ですが、その当時は梅の花を眺めながら歌を詠む、それが「梅花の宴」です。宴の場所は大伴旅人邸、今話題の太宰府政庁跡近くの坂本八幡宮です。

わが苑に梅の花散る久方の天より雪の流れくるかも 大伴旅人(万葉集巻五・338雑歌)

私は、数年前にラジオの番組で万葉集の特集を担当して、大伴旅人や山上憶良の歌に触れたのですが、およそ1300年前、人生を語り合う二人の姿を想像しながら、その友情とほのぼのとした温かい人間性に深く感動しました。久しぶりにまた万葉集の頁をめくっています。

さて、5月から新しい元号「令和」のスタート、明るく平和ないい時代でありますようにと心から願っています。まどかぴあのボランティア飾り隊メンバーで書家の志賀禮華さんが、新元号スタートに合わせて、今作品を制作して下さっています。まもなくギャラリーモールに飾られる素晴らしい「令和」の文字にご期待ください。

PAGE TOP